kaerusan backyard
浅草十二階計画
かえる目
Jul 27, 2009
12:44am
カメラ・オブスキュラの時間
スミス記念堂(彦根)でお見せしているのは、外界が暗い室内に映し出されるというもので、それは節穴現象とかカメラ・オブスキュラと呼ばれる、昔から知られている現象に過ぎない。けれど、それは単に、室内に倒立像が写ります、以上、というような瞬間のできごとではない。
それは暗闇に目をならしていくという体験であり、暗がりの中におぼろげに映し出される不確かな光のもやに突如かたちが与えられる体験であり、車、鳥、人、外の物音に注意を動かされ、視線をあちこちに惑わせるうちにそれまで気づかなかった細部がほのかに立ち現れていく時間である。少なくとも30分、できれば1時間くらいカメラ・オブスキュラの中に居ると、次第に事の次第が判ってくる。この数回にわたってスミス記念堂でやり続けて、ようやく、これは従来のスタイルのカメラ・オブスキュラとは違うのだということがわかってきた気がする。これは、シールズ・ロックやエジンバラにあるような伝統的で明るいカメラ・オブスキュラではない。もっと暗く、長い時間をかけて体感される特別な体験であり、その点で、どちらかといえばタレルの作品に近いものだ。
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