kaerusan backyard


浅草十二階計画
かえる目

Jul 27, 2009 9:18am

会話へこぎ出すための介助

高齢者の中にはいっけんすると、聴力が衰えているように見え、また声量も下がっているように見える人がいる。こうした人は、ヘルパーさんの力なしには、会話できないように見えることがある。が、たとえば膝を近づけたり、視線をはっきりと送ったり、部屋のテレビを消して静けさを取り入れることで、ずいぶんと話がしやすくなることがある。ヘルパーさんを介さずに直接話を聞くことができ、同じタイミングで笑いあうことができる。この、相手の発話とともに刻々とこちらの表情が変わり、こちらの発話とともに刻々と相手の表情が変わる関係ができると、会話のいたるところに声と表情、表情と声の同期が起こり、濃密な時間が訪れる。残念ながら、ヘルパーの方を介したとき、これほど濃密な感じを得るのはなかなか難しい。機転の利くヘルパーさんは、高齢者がまだ体を後ろに倒しているときは耳元でことばを言い直し、あるいは本人のことばを相手に伝えるが、本人が体を前に出して自ら話し始めようとすると、こうした行動を止めて、本人が話すにまかせている。単に聴力や声量を補う介助ではなく、会話の豊かな時間へとこぎ出すことを介助する方法があるのだ。

Page 1 of 1